医学生物学研究所

こないだオフ会で、一部の某投資家に「旅とかどうでもいいっす。投資関連のネタが・・・」みたいなことも言われ、確かにそろそろ投資のこと書かないと、退場しちゃうかな~(?)と思ったので書きます笑。

 

医学生物学研究所4557について。読んで良いと思ったら医学生物学研究所買ってください笑。



先月の決算はとても良かったもので想像をはるかに超えていました。そのあとに出したIRが悪いこと・相場の地合いが悪いなどの影響でまったく株価は低迷してしまいました。正直、もう逃げたい方は逃げているんじゃないかと思っているんですが、この時点であっても、この会社にはBETする価値があると判断しています。

この銘柄、勉強会でとりあげさせてもらった銘柄だったのですが、その日たまたま私は法事でその会に参加できず、残念だなあ~と思っていたら別の方からも推薦されるという珍しい銘柄かぶりが起こった銘柄でした。

まあ正直今まで勉強会の内容は出していなかったのですが、もう別にいいかな~株価も落ちてるし・・・と思ったのでその時にまとめた資料を中心に書きます。一つお断りしておきたいのが、数字的なことも自分の中で想定しているトップラインや純利益、目標株価などもあるんですが、ここは医者から見て、どうしてこの会社に優位性があると考えたかについて中心に述べていきます。

勉強会の資料から流用しているから長いよ。あと細切れかもしれないけど許してくらはい。最低限会社の説明書を見てからご覧くださいw

 

 

【長いからまあ興味ない人はスルー可】

 

もともと検査キット、特に基礎医学(基礎研究)や研究資材としての検査キットなどを売っていた会社です。ここの会社の業績が大化けしていますが、その理由はがん遺伝子検査キットの売上によるものです。それがRASKETーBキット。RAS/BRAFというまあ遺伝子の検査の試薬です。2015年大手化学メーカーJSRの傘下に入りました。

 

このキットは、だいぶはしょりますが、要するに大腸がん末期に患者さんに使用される検査キットです。厚労省の試算では利用される患者さんは2万人以上、この検査キットの売り上げを5億円弱/年と試算しています。本機器の売り上げだけでです。

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000334420.pdf#search=%27RAS%2FBRAF%27

 

しかし実際には、このキットの売り上げを会社の決算書・説明資料から推測すると、おそらくすでに昨年実働半年~8か月程度で5~6億程度あると考えられます。IRでも「検査薬の売り上げの上昇のほとんどは新しい検査キットによるもの」といっていました。

 

この検査試薬は、いわゆる採血で測定することのできる腫瘍マーカーのようなものではなくて、実際に切除などをして、がん細胞を取ってこないと測定できないものであって、理論上は、「去年検査キットの認可がおりて、大量に使われただけでしょ?反動あるんでしょ?」ということはあり得ません。つまり、手術したり内視鏡したりしてその場で検体を提出するので、認可が通ったから今までの人たちを検査してみよう~!ということはできず、新しく発症した患者さんあるいは疑われた患者さんにしか検査ができないため、急激に患者さんが増えたり減ったりということは考えにくいということです。その代わり、どうしても1人に複数回とかはやらない(絶対やらないかどうかは専門外なのでようわからんw)ので、トップラインが今後も急激に伸びていくということもないようにおもいます。ここが株価が伸びなかった、わかりにくかった理由の一つかもしれません。

 

 

【大腸がんっていうものについて、専門家でもないのに偉そうに語ってすみません】

私は大腸がんの専門家ではないので、データから得られることを前提に話していきます。ドクターの皆様、医学的なことのつっこみはおやめください。わかりやすくの解説なので、端折っています。お許しを。

 

https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/short_pred.html

国立がん研究センターの資料によると、大腸がんの死亡者数は5万人程度、このほとんどが残念ながら転移をしていたり超高齢などの理由によって治療が難しかったものと考えられ、この半分程度の方がこの遺伝子検査を使うという試算は理にかなっていると思われます。ただ、おそらく現在の大腸がんの治療選択を考えると、22000人という厚労省の資産は少なく見積もっている可能性が高いです。(詳しくは割愛します、がん治療の話になってしまい、私もがんの専門家ではないので。日本の医療界は検査キットや薬の認可がとても遅く、厚労省の試算も、数年前の試算であることがほとんどだからです。)

 

大腸がんという病気は、食生活と密接にかかわっていると指摘されており、食生活の欧米化に伴って増加してきたことが知られています。厚労省の資料からもわかるように男女ともに大腸がんによる死亡者数は横ばい程度にしか抑制されません。増加がやっとなくなったというくらいです。(ちょっと見方がわかりにくいかもしれません、グラフが高い位置にあればあるほど死亡率の高いがんで、右肩下がりになっているのは死亡率が減っている、右肩上がりになっているのは死亡率が上昇しているという意味です。)

余談ですが、胃がんはピロリ菌除去による効果と減塩・胃カメラの発明による早期発見の実現で劇的に予後がよくなり、肝臓がんはB型肝炎・C型肝炎の治療法やワクチンの発明により劇的に減っています。今後はさらに減少すると思われますが、肺や大腸(結腸・直腸)は劇的な改善を見込める要因はまだ少ないと思います。(たぶん)

 

部位別がん年齢調整死亡率の推移(主要部位) 男性 画像部位別がん年齢調整死亡率の推移(主要部位) 女性 画像

 

現在のガイドラインをみると、この医学生物学研究所の検査キットを使用し、切除不能(ここでの切除不能というのは、医者からすると治せないという意味だとご理解ください。)のがんにはきちんと使用しなさいということが書かれています。

したがって、今年・来年に大きくガイドラインが変わる予定はなさそうですので、来年度いっぱいまでの売り上げはほぼ固定されているといっても問題ありません。

ちょっと専門的な資料ですが、私の説明の根拠はこの検査キットの説明にまとまって書かれていますのでこれをかいつまんで説明しています。

https://www.medience.co.jp/information/pdf/18-31.pdf

 

 

【保険というものについて】

ちょっとここからわかりにくいかもしれません。日本の医療制度の問題にかかわるので、わかりにくかったら飛ばしてください。要するに、検査キットの利益率がとんでもなく良いというお話です。

日本の医療の世界では、保険が通るかどうかという話があるのですが、保険が査定されるということもないと今のところ回答をもらっています。つまり、昨年たたき出した数字は、今年・来年度あたりまではほぼ確定に近いように思えるような数字です。ストック収入に近いと思います。

リスクは大腸がんのガイドラインが大きく覆されるような薬が出現する、研究結果が出される、日本人の大腸がんが劇的に減るなどですが、正直そうなるには数年以上はかかります。

したがって、これによる売り上げ・利益は安定的に生み出されるわけです。この売上・利益が出ている間に別の検査キットを開発したり、別事業を拡大したりということが会社の経営戦略的には望ましい・・・ということになります。

 



【もうひとつの検査キットと二つの検査キットの利益率】

そこにもうひとつ、大きな助っ人といいますか、会社としての強みがあります。それがNUDTキット。NUDTと書いてあるこの検査キット、使い方はちょっと説明すると長くなり、しかもかなり珍しい疾患・病態ですのでここでは割愛します。どちらかというと、私はこちらの方が大腸がんより専門分野的にわかるのですが、大腸がんのようなとっつきやすいものではないし、面倒くさいし、株クラそんなの興味ないでしょ(-_-;)

この検査キットは年間約5000人と試算されていますが、売り上げや検査による利益は、その保険価格設定やIRの反応からがん遺伝子検査キットとほとんど同程度と考えれます。また、この検査キットの売り上げ・利益は、昨年度までの決算には一切入っていません。実質的に昨年の下半期の売り上げ・営業利益の倍以上を中国事業とともにこの2つのキットで達成することは十分可能だと思います。

 

なお、医療の世界において、保険点数は「有用性が高いものには開発した者たちにとって有益となるような価格設定をし、後発のもの・類似性の高いものには安く設定する」という掟があります。2つとも、従来の方法とは違った検査キットであるため、その利益率は「従来の事業や中国事業の比ではない(IRの言葉通り)」であることは想像しやすく、おそらく2つとも原価率は50%をはるかに下回るものだと思います。まあ簡単にいえば競合がいないので、病院に売る金額も大幅な値引きすることなく推移しているのだと思います。多分販管費を加えても営業利益率は50%オーバーかと思います。

 

参考までに、インフルエンザの検査キットを考えてみましょう。実際に皆さんが支払う医療費ではなく、あの検査キットを1回やると、保険で1500円程度のキット代がかかると決められています。(窓口ではそのキット代に加え診察代・検査判定代といった複雑な点数計算があるため、詳しい話は割愛)

しかし、実際にこの検査キットは、クリニックや大きな病院へはその半額程度の卸価格で売られています。(ソースは私の病院w)その差額は病院・クリニックの利益(そのキットの保管料なども必要なのですべてが差額のすべてが利益になるわけではありません)ですが、このキット、実は原価

 

80円前後

 

といわれています。やっすwなんでキットの会社は800円-80円の720円を儲けるわけです。販管費とか考えなければね。それが、「インフルエンザの検査をするのは完全に検査キット会社とタミフルを売ろうとする製薬会社の戦略に、国民が騙されたから」という風な指摘を受ける理由の一つだと思います。日本はインフルエンザの検査とかしすぎなんですが、そこはまあさておき。

 

んでこのことを考慮すれば、おそらく卸価格は大幅な値下がりがない上に、1回測定した時の測定料金は保険で2万~4万円です。それは売り上げや利益は格段に良くなるよね・・・ということです。わかりますかね?

 

なお、次の大型検査試薬の発売は、今年中にはないと明言されていました。2020年に発売する予定だとのことです。(IRの話し方的にはほぼ開発は終わっていそうで、臨床検査・承認を受けるような段階なようです。)

 

 

【中国事業はどうなるか?】

中国をはじめ、私が移住を考えているアジア某国もそうですが、アジア各国の医療にかけるお金が急激に伸びていることが知られています。

国が豊かになれば、医療にかけるお金がかけられるのはなんとなくご理解いただけると思いますが、中国における医療費の拡大はとんでもないものがあります。特に共産党の「健康中国」という国家戦略も効果があってか、力の入れ方が凄いことが知られています。さらに、日本への健康ツーリズムにも代表されるように日本の医療への信頼はとても暑く、実際に「日本の保険医療の3倍の額を出すから日本で検査してほしい」という患者さんに会ったことも1度や2度ではありません。

 

参考記事:https://zuuonline.com/archives/184188

 

この政策や中国での盛り上がり、ブルーオーシャンを狙うべく、いろいろな日本企業が中国に進出しています。大手では各社商社がこぞって進出しており、かなり群雄割拠のようです。医学生物学研究所もこれに目を付けて、親会社のJSRが主体となり、診断に必要な資材・原料などを販売したり、今後は診断薬そのものを自分たちで作り、日本と同じように販売することを目指しているようです。

医学生物学研究所が良いところは、この事業を中国で行っている日本企業がないことがあげられます。先ほどのように中国国内からの信頼が厚く、「正直伸びは止まっていない」とのことで、中国事業の拡大がどこまでいくのか、「ブルーオーシャンであるため、とても足元は良いと思っているが、見通しは立っていない」とIRが言っていました。(ライバル企業は現地の会社と欧米の会社であるとのこと。日本企業というある一定の人気に支えられているので、とんでもなくシェアを獲得できる可能性もあれば、思ったより少なくなってしまうという可能性もあるようです。)

会社の説明資料からもわかるように、伸び率がかなりすごく、これが続くのであれば、来年度の売上・営業利益(純利益も)の上方修正はまったくおかしな話でもないと思っています。

 

 

【ノーベル賞関連銘柄】

あまり知られていませんが、ノーベル賞候補関連銘柄でもあります。

京都大学大学院理学研究科の森和俊教授(今年も候補)と共同研究の実績があり、毎年ノーベル賞の時期になると動意があります。

正直本当に受賞するかどうかはわかりませんが、良い意味で作用してくれる可能性もあります。ただこれに関しては運の要素が強いと思います。

 

 

 

【懸念】

懸念としては、検査キットが何らかの理由で売れなくなったりした場合、新検査キットの開発が滞った場合、数年後に業績は落ちると思います。今後もがん関連を中心とした、診断薬開発を進めるとのことで、それがコケてしまうと数年後は・・・という感じだと思います。

期待を込めてコンパニオン診断薬開発受託サービスも楽しみだと思っていますが、どちらかというと、個人的には診断薬開発がうまくいく可能性の方が確度は高いのじゃないかと思っています。

「もともと診断薬の会社であり、臨床現場における診断薬に力を入れて収益を上げ、その上でIRに力を入れたり次なる事業拡大に行くという路線を明確に考えている」とIR担当者も述べており、おそらくその発言通り、診断薬開発の余地はまだまだ大きく、大化けするか否かは別にして安定的な数字をたたき出していくことは期待していいかなと思っています。

 

そのことがある上での中国事業の伸び期待なので、どこまで伸びていくのかは正直いい意味でも悪い意味でも不透明です。中国でベンチャーをやっている知り合いの医者がいるのですが、需要が旺盛すぎていまだに間に合わないと言われており、やはり爆買いに代表されるようなコト消費から健康消費に考えが変わっている表れかなとは思いますが、昨今の米中の貿易戦争を見ているとどう転ぶかは未知数と言わざるを得ないかもしれません。

創薬ビジネスを特に中国でやっていきたいといっていますが、それについてはかなり先で、完全に未知数です。

 

また、ここまでお話しした通り、これ以上のトップラインの急激な上昇が見込めるのか?といわれるとそこはweak pointだと思います。利益率がとても良いものであるため、売り上げだけで見られてしまうと弱いのですが、まあ売上重視でしょ!って言われるとつらい・・・w

 

 

【社内の変革中】

私が好みであるポイントもあって、それは社内の変革です。JSRの傘下に入ってからとても社内の雰囲気が良い意味で変わり、効率的で楽しくなったとIRよりありました。電話の雰囲気もとてもよく、「経営陣が変わり、社員一同向きになっている、明らかに雰囲気が良い」とのことでした。「がんばって会社を大きくしたい、IRの担当も増やして機関投資家や個人投資家の皆様との時間を増やしたいと上司には上申している」とのことでした。

 

 

以上より、期待を込めて投資をし、こんなところで株価は収まらないだろうと期待はしていますが、どう考えるかは皆さん次第かと思います。

個人的には、次の決算でもやはり数字が良く、かつ来年発売されるであろう新規検査キットがいかなるものになりそうか、また中国事業の伸びがどうか、そのあたりが焦点になってくると思います。下値不安がないのは個人的には大きいと思っています。今の価格が妥当かあるいは少し低めかくらいで、ここから急激に下がるのは地合いくらいじゃないかあ・・・って考えが甘いかwww

すべてがスマッシュヒットすれば、上場来最高値、今の倍額にはいけると思っていますが、一番の懸念は中国かなあ・・・。個人的には。とはいえ、上方修正はまず固いとは思っています。

メドピアと医学生物、自分の領域からともに強い確信をもって投資していますが、結果が出るのは次回の決算あるいは来年くらいかな~とも思っているので、半年くらいは気長に持とうかな。



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